個人再生手続のメリット・デメリット・費用は?

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名村法律事務所

ThinkstockPhotos-168725527借金の金額が大きくなると、利息の支払いだけでも大変になってきます。

返しても返しても、また新たな借り入れをしなくてはならない状況になった場合、破産するのではないかと不安を感じるかもしれません。

しかし、自己破産という究極の手段をとらなくても、借金地獄から逃れられる可能性があります。

その方法が、個人再生です。個人民事再生と呼ばれることもあります。

今回は個人再生手続のメリット・デメリット・費用についてご紹介します。

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岡田法律事務所

個人再生のメリット・デメリットは?

ThinkstockPhotos-158951998まずは、個人再生(個人民事再生)のメリットとデメリットを把握しておきましょう。

個人再生のメリット

個人再生では、借金を減額してもらうことができます。裁判所に申請し、借金の減額を認めてもらいます。

自己破産すると住宅が差し押さえられるのが一般的ですが、個人再生法では、借金減額と自宅の差し押さえを切り離して考えています。

したがって、個人再生をしても自宅が差し押さえ対象になるわけではありません。

住宅ローンと他の借金を別建てで考えることで、住んでいる住宅を手放さずに済みます。生活を維持しやすい点が個人再生のメリットといえます。

個人再生のデメリット

一方、個人再生にはデメリットもあります。

まず、個人再生をすると、いわゆる「ブラックリスト」に掲載されてしまいます。

ブラックリスト入りすれば、およそ5年以上にわたって新規の借り入れができなくなります。

住宅ローンを組んだり、クレジットカードを発行してもらったりする自由が利かなくなるのです。

また、個人再生をすると氏名や住所が官報に掲載されます。個人再生をした人物として認識されるとともに、住所も合わせて把握されることになります。

会社勤めをしている場合などでは、社会から個人再生をした人物と認識されること自体がマイナスにはたらく可能性があります。

加えて、個人再生では住宅が差し押さえられない一方で、保証人には迷惑がかかってしまいます。

というのも、個人再生では債務者本人が返済すべき金額が減る一方で、保証人が返済すべき金額は変わりません

もちろん個人再生では債務者が返済する金額がゼロではないため、保証人がすべての借金を肩代わりする必要はありません。

しかし、保証人が借金の多くを返済する羽目になることは事実です。

さらに、個人再生は手続きが面倒です。

裁判所に書類を提出したのち、再生手続きの開始が決定され、返済計画を示すなどの流れで個人再生を行うと、半年ほどの期間がかかってしまいます。

一朝一夕に借金を減らせるわけではない点に注意しましょう。

個人再生の種類と受けることができる人の条件

ThinkstockPhotos-478619105個人再生の中にも、いくつかの種類があります。そこで、種類別に、どのような人が対象となっているのかを見てみましょう。

①小規模個人再生

小規模個人再生とは?

小規模個人再生は、もっとも一般的な個人再生の方法です。というのも、他の個人再生と比べて返済額が少なくて済むからです。

法人向けに「民事再生(任意再生」という再生方法があります。小規模個人再生は民事再生の個人版だと考えるとわかりやすいです。

小規模個人再生利用の条件とは?

返済額を大きく減らせる小規模個人再生ですが、利用するには一定の条件を満たす必要があります。

まず、負債総額が5,000万円以下であることが挙げられます。

当初の借り入れが少なくても、利息が雪だるま式に膨らむなどして、負債総額が5,000万円を超えている場合は、小規模個人再生を受けることはできません。

また、継続的あるいは反復的に収入を得る見込みがあることも利用の条件となります。

個人再生では借金が減額されはするものの、返済義務が全くなくなるわけではありません。

債務総額の5分の1程度の返済は求められることになるので、返済資金をきちんと準備できるかどうかがチェックされます。

さらに、債権者の過半数が再生計画案に反対していないことも必要です。

金額面、人数面のいずれかでも再生計画案に反対の意志を示す割合が半数以上となれば、小規模個人再生はできなくなります。

②給与所得者等再生

給与所得者等再生とは?

小規模個人再生のほかには、給与所得者等再生があります。給与所得者等再生は、その名の通り、給与所得者が利用できる個人再生の方法です。

給与所得者等再生では、返済すべき額が可処分所得の2年分になります。

この金額は一般的に、小規模個人再生を利用する場合よりも多くなります。

また、仮に可処分所得が少ない場合でも、給与所得者等再生において返済すべき最低額は、小規模個人再生の場合に返済すべき額とされています。

したがって、給与所得者等再生では小規模個人再生と同じかそれ以上の金額を返済しなければなりません。

給与所得者等再生利用の条件とは?

給与所得者等再生では小規模個人再生よりも返済額が多くなる反面、利用する条件が少し緩くなります。

無担保の債務が5,000万円以下である点は共通ですが、再生計画案に債権者が同意するかどうかが問われない点が異なります。

銀行やローン会社などが再生計画案に反対の意思表示をするケースはまれではあるものの、全くないわけではありません。

再生計画案への反対が多かった場合には、小規模個人再生ができず、給与所得者等再生をせざるを得ない場合があります。

個人再生の手続

ThinkstockPhotos-538646820個人再生の特徴や種類について理解したところで、実際の手続きをチェックしてみましょう。個人再生手続の流れと、必要書類について確認します。

個人再生の手続の流れ

まずは、個人再生の手続の流れを確認します。

個人再生の手続きを始める際は、裁判所に申立をする必要があります。都道府県に最低1つはある地方裁判所への申立が可能です。

裁判所への申立が済めば、基本的には再生委員と呼ばれる弁護士を訪問します。再生委員は個人再生を行う人が本当に返済能力を有しているのかを判断する人物です。

債務額が少ない場合などは、再生委員の訪問が求められない場合もあります。

ただ、再生委員の訪問を求めるかどうかについては、明確な基準がありません。各地の裁判所がケースバイケースで判断します。

その後、実際にお金を積み立て、計画通りの積み立てができるかどうかをテストされます。いくら収入が十分であっても浪費癖が治らないなどのケースでは返済が滞ってしまうからです。

積立が求められる金額は、再生計画において毎月返済する金額より少し多めに設定されるのが一般的です。

テストにおいて積み立てができないようだと返済能力に疑問符が付き、個人再生が認められない可能性が高まります。できる限り支出を減らし、計画に沿った積み立てを実現することが求められます。

積み立ての実施と並行して、再生計画案を作成します。作成した再生計画案は裁判所に提出します。裁判所が計画案を確認し、問題なければ再生計画にしたがった返済がスタートします。

個人再生の手続に必要な書類

個人再生にあたって必要となる書類がいくつかあります。個人再生をするならしっかり準備しておきましょう。

まず、住民票は必須です。個人再生を行う人だけではなく、世帯全員について住民票が必要となります。住民票は市町村役場で入手できます。

また、自営業者なら確定申告書サラリーマンなら源泉徴収票と課税証明書が、年収を証明する書類として必要です。サラリーマンは源泉徴収票に加えて給与明細書の提出も求められます。

いずれの書類も直近2年のものを提出する必要があります。確定申告書は税務署で、源泉徴収票と給与明細は勤務先で、課税証明書は市町村役場でそれぞれ交付を受けることができます。

不動産を保有している場合は建物や土地の登記事項証明書を法務局に発行してもらう必要があります。また、不動産価格を証明する書類を不動産業者に請求します。

賃貸住宅に住んでいる人は登記事項証明書の代わりに、賃貸契約書を提出します。賃貸契約書は、仲介業者から入手します。

さらに、銀行預金や株式などの資産がある場合は、資産額を証明する必要があります。

銀行預金については、直近2年分の入出金が記録されている通帳が必要です。株式であれば、株式を保有している証券会社などに、購入価格や時価を証明する書類を請求します。

こうした書類をもとに、個人再生の申立書陳述書債権者一覧表財産目録を作成します。これらの作成書類の内容が正しいことを示すために、住民票や源泉徴収票といった書類を集める必要があるのです。

申立書には、個人再生をする人の住所氏名などを記載します。住民票記載の内容が、申立書内容の根拠になります。

陳述書には、収入や世帯構成などを記載します。世帯構成員の住民票や源泉徴収票などの内容をもとに作成します。

債権者一覧表は借入先を明確にするために作成します。小規模個人再生では債権者の過半数が再生計画案に反対すると、再生手続きがストップしてします。どのような債権者がいるのかを裁判所が把握するために債権者一覧表が必要です。

財産目録は、財産の保有度合いによって返済能力に変化が生じることなどから作成が求められます。すでに差し押さえが決まっている財産がある場合は、差押決定正本を裁判所に請求し、提出する必要があります。

また、複数人で世帯を構成している場合は、世帯全体の家計表の作成が必要です。1か月ごとの家計の収支を記録、個人再生における返済能力があるかどうかの判断材料を提示します。

個人再生に掛かる費用

ThinkstockPhotos-149130158個人再生をするということは、資金繰りに困っているといえます。お金がないタイミングなので、特に気になるのが個人再生に掛かる費用です。

費用は、自分で個人再生を依頼するのか、司法書士や弁護士に依頼するのかによって、それぞれ異なります。

①自分で依頼する場合

まず、自分で個人再生を依頼する場合が、一番費用が安くなります。司法書士や弁護士に支払う追加費用が発生しないからです。

ただ、一番安いとは言っても、約30万円の費用がかかります。30万円の内訳は、25万円程度が個人再生委員に支払う報酬です。個人再生委員が選任されなかった場合は、この費用は支払わずに済みます。

債務額が少ない場合には、個人再生委員なしで個人再生できるケースもあります。

個人再生委員への報酬に加えて、収入印紙代や官報への掲載費用がそれぞれ1万円程度かかるほか、書類の郵送などに費用がかかります。

②司法書士に依頼する場合

司法書士に個人再生を依頼する場合は、司法書士に支払う報酬費用がかさみます。ただ、一般的に弁護士に個人再生を依頼する場合よりはコストが抑えられます。

また、司法書士や弁護士に依頼した場合、個人再生委員へ支払う報酬が10万円程度安くなります。

これらの要素を考慮すると、司法書士に個人再生を依頼する場合にかかる費用は約40万円です。

③弁護士に依頼する場合

弁護士は法律の専門家であるため、個人再生を依頼する際に安心感が高いかもしれません。しかし、費用面では最も高くついてしまいます。

弁護士に個人再生を依頼する場合は、個人再生委員への報酬が安くなることを勘案しても、50万円~60万円程度の費用がかかってしまいます。

もっとも、個人再生をすれば借金額が減額されることから、費用がかかるからといって個人再生をあきらめるのは本末転倒です。

個人再生の注意点

ThinkstockPhotos-480654671自己破産と比べると生活への影響が抑えられる個人再生ですが、最後に注意点を確認しておきましょう。

個人再生では、住宅ローンがあっても住宅を手放さずに済みます。

しかし、自動車は資産として査定対象となり、自動車を担保とする自動車ローンを組んでいた場合は自動車を手放さなければならないケースがあります。

ローンが残っていて自動車が担保に入っている場合は、ローンを一括返済しない限り、自動車は手元に残りません。

高額の自動車ローンが残っている場合は、生活や仕事に使っている自動車であっても売却を余儀なくされてしまいます。

あくまで住宅を失わずに済むのであって、すべての資産が守られるわけではない点に注意しましょう。