自己破産して免責になる条件とは?免責不許可事由を徹底解説!

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名村法律事務所

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「借金をして返せなくなれば自己破産すればよい」、こんな話を聞いたことはありませんか?関連記事「自己破産とは?デメリット7選とメリット3選まとめ

現在、年間約90,000件もの自己破産が起こっていますが、自己破産をしたいと思った全員が債務を免除(免責)されるわけではないのです。

今回は、自己破産して免責となる条件、ならない条件を確認し、自己破産して免責される確率を少しでも上げる対策を考えます。

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岡田法律事務所

自己破産の申立てとは?

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自己破産とは、裁判所に申立てを行うことにより借金の免除を認めてもらう手続きのことで、申立てというのは裁判所に対して「手続きを開始してください」という意思表示をすることです。

具体的には自分の住所を管轄する地方裁判所を訪ねて、申立書や債務の一覧などの必要書類を裁判所書記官に対して提出します。

弁護士や司法書士などの専門家に依頼して自己破産を行う場合には、専門家に対して指示された資料を提出すればこうした手続きは専門家が代行してくれるでしょう。

裁判所に対して自己破産の申立てを行うには、申立書などの必要書類と合わせて予納金の納付を行う必要があります。

予納金の金額は自己破産を申し立てる人に「所有している財産があるかどうか?」によって大きく異なります。

財産が全くない場合には1万円〜2万円程度の金額ですが、マイホームなどの財産を所有している場合には予納金は20万円〜30万円程度と高額になることもあります。

必要書類に不備がなければ、自己破産の申立てが認められて裁判所内での手続きがスタートすることになります。

「破産申立」と「免責申立」の違い

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自己破産の申立て手続きは厳密に言うと「破産申立」「免責申立」の2種類に分けられます。

破産申立は裁判所内での手続きをスタートしてもらうための手続きで、破産申立がされると裁判所は必要書類に不備がない限りはその申立てを受理してくれます。

免責申立は、「借金を0にしてください」と裁判所に対して意思表示することです。

自己破産手続きをするからには当然借金を0にして欲しいという気持ちがあるのですが、法律上はこの2つは分けられています。

実際には、破産申立が受理されて破産手続き開始の決定がされてから1ヶ月以内に「免責許可申立書」という書類を提出することになります。

免責申立が受理されると、「免責審尋(めんせきしんじん)」という手続きに入ります。これは裁判所に実際に出向いて裁判官と面談する手続きです。

面談というと緊張するかもしれませんが、実際には裁判官と一対一で向き合うというわけではなく、複数人の面談がまとめて行われ、時間的には10分程度で終わることが多いです。

財産がない人の場合はすぐに免責審尋に入りますが、財産がある人の場合は破産管財人(自己破産を申し立てた人の財産を管理する人)の選任などがその間に行われることになります。

借金が免責されない場合は?

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裁判所に対して自己破産の申し立てを行っても、特殊な事情がある場合には借金が免除されないというケースがあります。

この特殊な事情のことを「免責不許可事由」といいます。

免責不許可事由は法律で「こういう場合には免責を許可しない」という形で具体的にリストアップされています。

免責不許可事由に該当する場合

裁判所に対して自己破産の申立てをしても免責が認めてもらえない「免責不許可事由」としては以下のようなものがあります。

まず、自己破産を申し立てた人が財産の一部を隠したような場合です。

自己破産により免責決定がなされると所有している財産は原則としてすべて手放すことになるため、こうした財産隠しが行われる可能性があるのです。

また、自己破産申立者の生活態度等が問題となる場合もあります。ギャンブルや浪費、人をだましてお金を借りるような行為がこれにあたります。

よく指摘される注意点としては、クレジットカードのショッピング枠の現金化があります。

これも「換金行為」と呼ばれ、免責不許可事由に該当してしまう可能性があります。

非免責債権に該当する場合

免責不許可事由の他にも、自己破産をしても免除が認められない場合があります。

非免責債権(ひめんせきさいけん)というものがそれです。

非免責債権というのは債権としての性質上、免責することができないという内容のものをいいます。

つまり、非免責債権とみなされた借金は裁判所での手続きが完了しても0円にはしてもらえないということですね。

非免責債権として代表的なものは罰金や税金、社会保険料の未納分がありますが、その他にも「不法行為に基づく損害賠償請求権」や、養育費などの請求権があります。

慰謝料の免責が認められないケース

慰謝料というのは精神的な損害に対してその損失をお金で支払うことをいいます。

自己破産を申し立ててもこういった慰謝料に関しては免責が原則として認められません。

ただし、ここでいう免責の認められない慰謝料というのは「悪意で加えた」不法行為に基づく慰謝料といわれています。

つまり、相手の事を傷つけてやろうという意思があるかどうかによってこの免責が認められるか否かが決まるのです。

具体的なケースでよく問題になるのが、配偶者の不倫による慰謝料請求です。

もし不倫をした方が「妻(あるいは夫)を傷つけてやろう」という意思がなかったと判断される場合には、この慰謝料は免責されることになります。

逆に、「配偶者を傷つける意思をもって不倫をした」と判断される場合には、この慰謝料は免責されないことになります。

損害賠償請求の免責が認められないケース

慰謝料は精神的な損害に対してお金で補填するケースでしたが、たとえば相手を殴って傷つけた場合のように、わざと相手に物理的な損害を与えたようなケースでは免責を認めてもらうことがより難しくなります。

こうした損害賠償請求が「加害者(つまり自己破産を申し立てている人)の故意または重大な過失」に基づいて行われたと判断される場合には、自己破産を申し立てても免責されません。

慰謝料の場合には「相手を傷つける意思があったかどうか」が判断基準となっていましたが、この損害賠償請求では「故意か重大な過失があれば免責されない」ということになり、免責してもらうためのハードルは少し高く設定されているといえます。

免責不許可事由に該当しても免責が通る裁量免責とは?

自己破産を申し立てた人に免責不許可事由がある場合には、原則として免責してもらうことができません。

しかし、実際には裁判官が免責を認めるべきかどうか、具体的なケースを見ながら判断しています。

これを「裁量免責(さいりょうめんせき)」といいます。

つまり、たとえば免責不許可事由に該当することが明らかであったとしても、裁判官が「この件については免責してあげたほうが良い」という判断をした場合には免責されるということもあるのです。

「自分には免責不許可事由に該当するからダメだ・・・」とあきらめてしまうことはとてももったいないことです。

自己破産申し立てによりの免責が認められれば、今ある借金はすべて免除してもらえる可能性があります。

自己破産が免責されるかどうかは実際には「やってみないとわからない」という部分がありますので、心当たりのある方は一度弁護士などの専門家に相談してみると良いでしょう。

裁量免責を受けるための具体的な対策としては、以下のようなことが考えられます。

少額管財事件で申立てをしよう

ギャンブルなどの浪費が原因で免責不許可とされてしまった場合には、少額管財事件で再度申立てをするという方法があります。

少額管財事件というのは、もともと裁判所の手続きを迅速に行うために管財事件を簡略化した手続きのことをいいます。

少額管財事件として申し立てられた自己破産手続きでは、自己破産を申し立てた人の財産を管理する「管財人」という人が選任されます。

管財人によるチェックが入ることから、より更生への可能性が高まると判断されることがあります。

そのため、同時廃止事件(財産がない人の自己破産手続き)では免責不許可とされても、少額管財事件では免責が下りるというケースがあるのです。

ただし、少額管財事件を申し立てるには弁護人の選任が必要な他、予納金が20万円程度必要になることには注意が必要です。

裁判所の印象を良くしよう

自己破産手続きで免責が認められるかどうかは裁判官が申立人の生活態度などを見極めながら柔軟に決定しています。

そのため、免責を認めてもらう可能性を少しでも高くするためには、裁判所の印象をよくすることがとても重要です。

具体的には、裁判所への出頭を求められたときには必ず出頭するとともに、現在の職業や財産の状況、家庭の状況や今後の収入の見込みなどを、裁判所から求められたタイミングできちんと説明することが大切です。

専門家を活用しよう

自分に免責不許可事由に該当するかもしれない、という心当たりがある場合には、自己判断で自己破産手続きを行うことは避けたほうが賢明です。

自己破産は司法書士や弁護士などの法律の専門家のアドバイスを受けることでよりスムーズに進めることができるようになります。

専門家に依頼すると当然費用が発生することになりますが、多くの場合は自己破産によって免れることのできる借金の金額と比べると小さい金額であることがほとんどです。

自己破産の専門家費用は同時廃止の場合で20万円〜30万円程度、管財事件の場合で50万円程度が相場です。

後払いや分割払いにも対応してくれる法律事務所がほとんどですので、現在手持ちのお金が少なくて困っているという人も相談してみると良いですよ。

免責が認められなかった場合の対応策は?

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自己破産を申し立てたにもかかわらず、結果として免責が認められなかったときもあきらめてはいけません。

その後にとれる具体的な方法としては以下のようなものがあります。

即時抗告を申し立てる

裁判所の下した決定に不服がある場合(つまり免責が認められなかった場合)には、さらに上級の裁判所に訴えることができます。

自己破産の1回目の裁判は地方裁判所で行われますので、その上級裁判所である地方裁判所に訴えるということですね。

これを即時抗告といいます(即時というのは、判決が出てから2週間以内に手続きを行うためです)。

もちろん、即時抗告を行ったからといって必ず免責が認められるというわけではありません。あくまでも別の裁判官が改めて審理を行うというのにすぎません。

特に、1回目の裁判から新たな証拠や状況が出てきたというようなケースでない限り、即時抗告によって違う判断が出る(つまり免責が認められる)というケースは少ないと言わざるをえません。

その他の債務整理手続を行う

自己破産で免責が認められなかったとしても、その他の債務整理を行うことは可能です。

具体的には個人再生や任意整理を行うことが考えられます。これらには自己破産のように免責不許可事由は存在しないので、ギャンブルなどで作ってしまった借金についても減額してもらえる可能性があります。

ただし、個人再生や任意整理では、自己破産のように借金すべてが免除されるのではなく、元本の一部(個人再生)や、利息の免除(任意整理)といった形で借金の減額となるケースが多いです。

借金の時効を待つ

借金などの債権債務は一定期間放置されると時効にかかって消滅してしまうというルールがあります。具体的には10年間という期間が法律上設定されています。

ただし、時効は債権者側が「時効の中断」と呼ばれる行為を行うとその時点から期間計算が再スタートとなり、これまで進行してきた時効がキャンセルされてしまいます。

たとえば9年9ヶ月まで時効が進行していたとしても、その時点で時効の中断がされてしまうとまたイチから計算し直すということです。

再度申立てを行う

自己破産の申し立てに回数制限はありません(ただし、1回目の自己破産手続きで免責が認められた場合は、7年間は申し立てができません)。

免責不許可事由により免責が認められなかった人は、上記でも解説した通り少額管財事件で再度申し立てを行うなどの方法があります。

前回は自力でやってみたけれど免責されなかったので、今度は専門家に依頼して再度申し立てを行うというケースも考えられます。

一度免責が認められなかったとしてもあきらめてはいけません。生活を立て直すためにできることはたくさんあります。

その際、少しの判断ミスによって免責が認められないという結果になってしまうことがありえます。

自己破産の手続きは自力で行うことも可能ですが、難しいと感じる部分があれば無理せずに法律家のアドバイスを受けるようにしましょう。